ポーカー(テキサスホールデム)において、ハンドレンジは戦略の基盤となる最重要概念の一つです。
この記事では、ハンドレンジの意味・表記方法・ポジション別のレンジの考え方を、具体例を交えて解説します。
ハンドレンジとは?
ハンドレンジとは、あるプレイヤーが特定の状況で持ちうるハンドの集合のことです。
ポーカーでは相手のカードが見えないため、「相手は何を持っているか」を1つのハンドに絞るのではなく、「相手が持ちうるハンドの範囲(レンジ)」で考えるのが現代ポーカーの基本です。
なぜレンジで考えるのか
- 相手のハンドを1つに決めつけると、間違った判断をしやすい
- レンジで考えることで、確率に基づいた合理的な判断ができる
- プロプレイヤーは常に「相手のレンジは何か」を考えてプレイしている
ハンドレンジの表記方法
レンジは以下のような表記法で表します。
基本的な表記
| 表記 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| AA | ポケットエース | A♠ A♥![]() |
| AKs | AKスーテッド(同じスート) | A♥ K♥![]() |
| AKo | AKオフスーテッド(違うスート) | A♠ K♥![]() |
| AK | AKすべて(s + o) | スーテッド+オフスート |
| TT+ | TT以上のペア | TT, JJ, QQ, KK, AA |
| A5s-A2s | A5s〜A2sのスーテッド | スーテッドの小さいエース |
スーテッドとオフスート
- スーテッド(s):2枚のカードが同じスート。フラッシュの可能性があるため、オフスートより価値が高い
- オフスート(o):2枚のカードが異なるスート。コンボ数はスーテッドの3倍だが、フラッシュは作れない
例えば A♥
K♥
(AKs)と A♠
K♥
(AKo)では、AKsの方がフラッシュドローの可能性がある分、エクイティが約3%高くなります。
コンボ数の考え方
レンジを正確に理解するには、各ハンドのコンボ数を知ることが重要です。
| ハンドタイプ | コンボ数 | 説明 |
|---|---|---|
| ポケットペア(例:AA) | 6 | 4枚から2枚を選ぶ組み合わせ |
| スーテッド(例:AKs) | 4 | 4つのスートそれぞれ1通り |
| オフスート(例:AKo) | 12 | 16通り − スーテッド4通り |
全1,326コンボのうち、プレミアムハンド(AA, KK, QQ, AKs)はわずか34コンボ(約2.6%)しかありません。
ポジション別のオープンレンジ
ハンドレンジはポジションによって大きく変わります。レイトポジションほど広いレンジで参加できます。
UTG(最もタイト)
UTGは全員の後にアクションが控えているため、非常にタイトなレンジでオープンレイズします。
- ペア:77+(77以上)
- ブロードウェイ:AKs, AQs, AJs, KQs, AKo, AQo
- スーテッドコネクタ:一部のみ(例:JTs, T9s)
- 目安:全ハンドの約12〜15%
MP〜HJ(やや広く)
- ペア:55+
- ブロードウェイ:ATs+, KJs+, QJs, AJo+, KQo
- スーテッドコネクタ:98s+
- 目安:全ハンドの約15〜20%
CO(かなり広く)
- ペア:22+
- スーテッドエース:A2s+
- ブロードウェイ:大部分
- スーテッドコネクタ:76s+
- 目安:全ハンドの約25〜30%
BTN(最も広い)
BTNは最もポジションが有利なため、非常に広いレンジでオープンレイズできます。
- ペア:22+
- スーテッドエース:A2s+
- スーテッドキング:K2s+
- ブロードウェイ:ほぼすべて
- スーテッドコネクタ:54s+
- 目安:全ハンドの約40〜50%
SB(広め+3ベットも考慮)
SBはブラインドを支払っているため、スティールを狙って広めにオープンレイズします。ただしアウトオブポジションでプレイすることになるため、レイズ+フォールドの戦略が混ざります。
レンジリーディング
レンジリーディングとは、相手の各アクションからレンジを絞り込んでいく技術です。
レンジの絞り込み例
- プリフロップ:UTGがオープンレイズ → レンジは上位12〜15%
- フロップ:フロップ K♥
7♠
2♦
でCBet → Kヒット、オーバーペア、またはブラフ - ターン:ターン 3♣
でもう一度ベット → ブラフの割合が減り、Kヒット以上の可能性が高い - リバー:リバー J♥
で大きくベット → 非常に強いハンド(セットやツーペア以上)かブラフ
このように、ストリートが進むごとにレンジが狭まっていきます。
レンジのバランス
上級者は、自分のレンジにバリューとブラフのバランスを保つことを意識します。
- バリューばかりでベットすると → 相手はすべてフォールドしてくる
- ブラフばかりでベットすると → 相手にコールされて損をする
- 適切なバランスを保つことで、相手に正しい判断をさせない
ポットオッズと連動して、相手がブラフキャッチで利益を出せないような頻度でブラフを混ぜるのが理想です。
よくある間違い
- レンジではなくハンドで考える:「相手はAKだ」と決めつけるのではなく、「相手のレンジにはAK, KQ, JJ, TT…が含まれる」と考えましょう
- ポジションを無視する:UTGオープンとBTNオープンではレンジの広さが全然違います。常に相手のポジションを意識しましょう
- レンジが固定的:相手のプレイスタイルによってレンジは変わります。タイトな相手は狭く、ルースな相手は広く見積もりましょう
- フロップ以降でレンジを更新しない:プリフロップのレンジだけで判断せず、各ストリートのアクションに応じてレンジを絞り込みましょう
まとめ
ハンドレンジとは、特定の状況でプレイヤーが持ちうるハンドの集合のことです。現代ポーカーでは、相手のハンドを1つに決めつけるのではなく、レンジ全体で考えることが上達への近道です。
ポジション別のオープンレンジを覚え、相手のアクションからレンジを絞り込む「レンジリーディング」を身につければ、より正確な判断ができるようになります。